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特集:進化系店舗システムと活用提案
〜輸出梱包の自動計算と書類作成、複数店舗運営システムの新たな機能の紹介〜
● はじめに
ネットロック株式会社(東京都千代田区)では、複数店舗の受発注を管理するWebシステム(オーダリングマスター)向けの追加機能として、近年のインバウンド需要増加に伴う輸出資料(インボイス等)を自動作成する機能や、越境ECを想定した注文内容に合わせて使用すべき最小のダンボールを瞬時に計算するアルゴリズムを開発した。本項では、新たな機能を開発した背景とその詳細を紹介したい。
※Webシステム(オーダリングマスター)とは、Web環境にて店舗の発注状況と倉庫の在庫状況を管理するシステムであり、複数店舗からの倉庫へ出荷指示に対応している。オーダリングマスターは、フランンチャイズ展開している化粧品店や飲食店向け等、様々な業態に対応しており、飲食店向けでは、店舗・本部、納入卸業者・納入実業者を役割ごとに管理することができる。
● 背景(インバウンドと越境ECについて)
本内容の数値は、経済産業省発表(2017年4月)電子商取引に関する市場調査をもとに解説する。インバウンド(訪日外国人旅行)は、2014年1,340万人、2015年1,970万人(前年比147%)、2016年2,400万人(前年比179%)と大きな伸びを示しており、日本国内において店舗を展開している企業にとって大きな収益源となっている。
また、2016 年最多のインバウンド数(637万人)を誇る中国人の場合、越境ECを利用する理由は、「海外で購入した経験があり、自国からリピート購入したい」と答えている消費者が 35.0%に上る。これは訪日中国人客が旅行中に買った商品を帰国後にリピート購入する消費行動を表しており、訪日時の商品に触れた経験、信頼できると認識した経験が起点となってリピート購入等の次の消費に繋がっていることが分かる。このような消費行動は、中国人だけでなく他国においても同様と推測され、インバウンド(訪日外国人旅行客)を継続的に取引するリピートユーザーへと育成する為に越境ECは大きな役割を担うことになることが分かる。
では、越境ECの市場動向について解説をしたい。
越境ECによる日本からの輸出シェアが大きい国は1位 中国、2位 米国である。この2ヶ国による市場規模は16,522億円であり、このうち中国が10,366億円、米国が6,156億円となっている。
「過去1年間に越境ECを1度でも利用したことがある国」のトップは米国の27%であり、日本は2位の18%であった。中国のインターネットユーザーにとって日本は米国に次いで人気のある境EC対象国である。そして、米国の境EC経験者ではトップは中国の42%であり,日本は4位の5%であった。ご存知の通り巨大なEC市場である中国のインターネットユーザーにとって日本は米国に次いで人気のある越境EC対象国であり、日本企業にとっては、大きな商機であることが分かる。
● 輸出資料(インボイス等)を自動作成する機能
香港・東南アジア・北米等へ高級日本料理店(寿司・居酒屋等)を展開する外食企業から、海外代理店からの発注について、新鮮な魚介類・青果物・加工商品等の輸出(エアー)に関わる業務の改善相談を受け、弊社の複数店舗向けWEB受発注システム(オーダリングマスター)の追加機能としてインボイス自動計算システム(輸出機能)を開発した。
輸出機能は大きく分けて次の3つの機能から構成されている。
システムにおけるデータの流れ・機能は図1を参照いただきたい
仕入れ業者への発注はデータ連携が可能だが、市場への買付けは帳票での確認作業となっている。将来的には、市場への買付けは帳票での管理からiPad等のタブレットでの運用へ移行することを検討している。輸出は時間との闘いである為、帳票での確認工程を省き、タブレットにて仕入れ内容を直接登録することで作業時間を短縮する。最後に忘れてはならないことが、注文単位の収支管理である。市場では時価での購入が多く、採算に合わせた買付けが必要になる。この課題を解決する為に、担当者単位でのメール確認や事前の商品マスタの整備も必要だが、システム側では過去の注文内容をデータベースで管理し、発注単位に過去の類似内容を補足表示することで、担当者間の意思疎通をサポートしている。
● 注文内容に合わせて使用すべき最小のダンボールを瞬時に計算するアルゴリズム
越境ECの物流業務において留意すべき点は2つある。1つは送料。当たり前だが、日本国内の配送と比べ海外への輸出に関わる送料(小口)は数倍もかかる。もう1つは、前項にもあった輸出先国における梱包内容相違のチェック作業(通関)を考慮した運用である。梱包内容相違があると最悪の場合、シップバック(日本への返送)されてしまうのだ。
更に作業レベルで越境ECと国内におけるEC発送業務の違いを検証してみる。まずは、注文内容に応じて輸出向け資料(インボイス・パッキングリスト等)を作成する必要がある。パッキングリストの作成では、1つの注文に対して複数のダンボールに跨る場合、梱包単位に梱包内容物とパッキングリストと紐付ける作業が必要になる。1注文が複数の箱に梱包されている明細でなく、どの箱に何が入っているかを明確にする必要があるのだ。
ここで、これらの越境ECにおける手間(作業工数)を改善するシステムを紹介したい。ネットロック株式会社では、自動車業界向けのコンテナ単位の輸出において、製品の外寸(縦・横・高さ)とコンテナの内寸(縦・横・高さ)から、コンテナに対する積載率を最大限に向上させるアルゴリズムを開発しており、このシステムでは日本トップクラスのシェアと開発力がある。今回、越境EC向けに、製品の外寸(縦・横・高さ)と複数種類の梱包用ダンボールの内寸(縦・横・高さ)から、最小のダンボールを瞬時に計算するBox版アルゴリズムを開発した。Box版アルゴリズムとは3サイズ情報をもとに瞬時に最適な梱包内容を計算するアルゴリズムである。Box版アルゴリズムの特長は次の通りである。図2のる概要紹介を含めて参照いただきたい。
梱包物の内寸と製品の外寸を活用した積付けの自動計算(空間最適化)は、部品の輸出が多い自動車業界において約15年前からスタートとしている。日本から海外工場へ部品を大量に輸出する際に、コンテナの空き空間を活用することで積載を最大限まで向上させる取組みである。空間最適化による物流改善は自動車業界において成果をあげ、次に食品業界における幹線輸送(トラック輸送)へ広がった。そして、昨今の宅配運賃の値上げを背景に、最小のダンボールを自動選択するBox版アルゴリズムのニーズが増えており、空間最適化の考え(アルゴリズム)は越境ECの物流業務でも活用している。
● 最後に(バーコードによる作業品質向上)
越境ECをはじめとした海外への輸出業務では、作業の間違いが大きな負担につながる。シップバック(日本への返送)や品目分類(HSコード)の紐付け違いは企業間の信頼関係にも影響するからだ。従い、物流業務は間違いのない品質が求められる。結果、作業工数が増えてしまう。対応としては、紹介したシステムによる改善はあるが、その他、バーコードリーダーによる運用をお薦めする。商品とパッキングリストへバーコードを印字・貼付し、輸出の際に注文に合わせてバーコードリーダーで照合させる取り組みである。この場合、在庫引き落とし等のデータ連携までは必要がない為、システム開発はパッキングリストの文字列と商品番号(JANコード等)の文字列の照合のみに留めることができる。ただし、バーコードリーダーを用意すること、及び、商品へバーコードを貼付する運用を考慮する必要はある(図4)。バーコードリーダーによる運用は、間違いのない品質を構築する為、物量増加に合わせて重要になる。
ネットロック株式会社(東京都千代田区)では、複数店舗の受発注を管理するWebシステム(オーダリングマスター)向けの追加機能として、近年のインバウンド需要増加に伴う輸出資料(インボイス等)を自動作成する機能や、越境ECを想定した注文内容に合わせて使用すべき最小のダンボールを瞬時に計算するアルゴリズムを開発した。本項では、新たな機能を開発した背景とその詳細を紹介したい。
※Webシステム(オーダリングマスター)とは、Web環境にて店舗の発注状況と倉庫の在庫状況を管理するシステムであり、複数店舗からの倉庫へ出荷指示に対応している。オーダリングマスターは、フランンチャイズ展開している化粧品店や飲食店向け等、様々な業態に対応しており、飲食店向けでは、店舗・本部、納入卸業者・納入実業者を役割ごとに管理することができる。
● 背景(インバウンドと越境ECについて)
本内容の数値は、経済産業省発表(2017年4月)電子商取引に関する市場調査をもとに解説する。インバウンド(訪日外国人旅行)は、2014年1,340万人、2015年1,970万人(前年比147%)、2016年2,400万人(前年比179%)と大きな伸びを示しており、日本国内において店舗を展開している企業にとって大きな収益源となっている。
また、2016 年最多のインバウンド数(637万人)を誇る中国人の場合、越境ECを利用する理由は、「海外で購入した経験があり、自国からリピート購入したい」と答えている消費者が 35.0%に上る。これは訪日中国人客が旅行中に買った商品を帰国後にリピート購入する消費行動を表しており、訪日時の商品に触れた経験、信頼できると認識した経験が起点となってリピート購入等の次の消費に繋がっていることが分かる。このような消費行動は、中国人だけでなく他国においても同様と推測され、インバウンド(訪日外国人旅行客)を継続的に取引するリピートユーザーへと育成する為に越境ECは大きな役割を担うことになることが分かる。
では、越境ECの市場動向について解説をしたい。
越境ECによる日本からの輸出シェアが大きい国は1位 中国、2位 米国である。この2ヶ国による市場規模は16,522億円であり、このうち中国が10,366億円、米国が6,156億円となっている。
「過去1年間に越境ECを1度でも利用したことがある国」のトップは米国の27%であり、日本は2位の18%であった。中国のインターネットユーザーにとって日本は米国に次いで人気のある境EC対象国である。そして、米国の境EC経験者ではトップは中国の42%であり,日本は4位の5%であった。ご存知の通り巨大なEC市場である中国のインターネットユーザーにとって日本は米国に次いで人気のある越境EC対象国であり、日本企業にとっては、大きな商機であることが分かる。
● 輸出資料(インボイス等)を自動作成する機能
香港・東南アジア・北米等へ高級日本料理店(寿司・居酒屋等)を展開する外食企業から、海外代理店からの発注について、新鮮な魚介類・青果物・加工商品等の輸出(エアー)に関わる業務の改善相談を受け、弊社の複数店舗向けWEB受発注システム(オーダリングマスター)の追加機能としてインボイス自動計算システム(輸出機能)を開発した。
輸出機能は大きく分けて次の3つの機能から構成されている。
- 受注機能
海外からの注文内容をExcel添付にてメール受注すれば、Excelのコピー&ペーストにて受注取り込みすることができる。Webシステムに注文内容を直接入力する仕様も構築可能だが、海外からの注文は、海外代理店側が独自システムをケースが多いことからExcel対応により柔軟性をもたせている。また、海外からの注文受付では、商品番号の管理が複雑になる。海外代理店単位に独自に運用している商品番号が存在するケースが多いからだ。もちろん、日本でも日本独自の商品番号にて管理する必要があり、結果、日本側の管理する商品番号と海外の複数存在する商品番号を紐づける必要がある。この課題を解決する為に、オーダリングマスターでは、商品番号を管理するマスタを用意している。 - 発注機能(仕入情報の帳票出力)
海外からの注文内容に合わせ、仕入先へ発注をする為の帳票やデータを出力する機能。高級日本料理の場合、仕入担当者が市場で食材を買付けするケースもある為、海外発注担当者と日本における買付け担当の意思疎通が必要になる。市場では旬な食材の種類や在庫量(仕入れ可能数)が日々変動するからだ。また、輸出では、国際貿易において決められている品目分類(HSコード)を商品単位に紐づけする必要がある。 - インボイス・パッキングリスト等の輸出資料自動作成
2.における発注内容と仕入れ商品の紐づけから、インボイス・パッキングリスト等の輸出向け資料が自動作成する。これらの帳票は柔軟な修正を考慮してExcel形式での出力を可能にしている。また、輸出では、仕入れ商品の梱包から発送における物流業務において考慮すべき点がある。梱包単位の商品明細を明確にする必要がある点だ。システム側では、商品単位にシールラベルを発行する機能があり、梱包後の外箱へ商品単位にシールラベル(ケースマーク)を張り付けることで、梱包箱単位の商品内容を明確にしている。輸出先国の通関においてランダムに梱包単位の梱包内容を明示した内容とパッキングリストが一致しているか調査されるからだ。内容に相違があると最悪の場合はシップバック(日本への返送)をされてしまう。輸出では間違いのない作業が必須となる。
システムにおけるデータの流れ・機能は図1を参照いただきたい
※図1:オーダリングマスター 輸出資料(インボイス等)作成機能
仕入れ業者への発注はデータ連携が可能だが、市場への買付けは帳票での確認作業となっている。将来的には、市場への買付けは帳票での管理からiPad等のタブレットでの運用へ移行することを検討している。輸出は時間との闘いである為、帳票での確認工程を省き、タブレットにて仕入れ内容を直接登録することで作業時間を短縮する。最後に忘れてはならないことが、注文単位の収支管理である。市場では時価での購入が多く、採算に合わせた買付けが必要になる。この課題を解決する為に、担当者単位でのメール確認や事前の商品マスタの整備も必要だが、システム側では過去の注文内容をデータベースで管理し、発注単位に過去の類似内容を補足表示することで、担当者間の意思疎通をサポートしている。
● 注文内容に合わせて使用すべき最小のダンボールを瞬時に計算するアルゴリズム
越境ECの物流業務において留意すべき点は2つある。1つは送料。当たり前だが、日本国内の配送と比べ海外への輸出に関わる送料(小口)は数倍もかかる。もう1つは、前項にもあった輸出先国における梱包内容相違のチェック作業(通関)を考慮した運用である。梱包内容相違があると最悪の場合、シップバック(日本への返送)されてしまうのだ。
更に作業レベルで越境ECと国内におけるEC発送業務の違いを検証してみる。まずは、注文内容に応じて輸出向け資料(インボイス・パッキングリスト等)を作成する必要がある。パッキングリストの作成では、1つの注文に対して複数のダンボールに跨る場合、梱包単位に梱包内容物とパッキングリストと紐付ける作業が必要になる。1注文が複数の箱に梱包されている明細でなく、どの箱に何が入っているかを明確にする必要があるのだ。
ここで、これらの越境ECにおける手間(作業工数)を改善するシステムを紹介したい。ネットロック株式会社では、自動車業界向けのコンテナ単位の輸出において、製品の外寸(縦・横・高さ)とコンテナの内寸(縦・横・高さ)から、コンテナに対する積載率を最大限に向上させるアルゴリズムを開発しており、このシステムでは日本トップクラスのシェアと開発力がある。今回、越境EC向けに、製品の外寸(縦・横・高さ)と複数種類の梱包用ダンボールの内寸(縦・横・高さ)から、最小のダンボールを瞬時に計算するBox版アルゴリズムを開発した。Box版アルゴリズムとは3サイズ情報をもとに瞬時に最適な梱包内容を計算するアルゴリズムである。Box版アルゴリズムの特長は次の通りである。図2のる概要紹介を含めて参照いただきたい。
- 注文単位に最小の梱包用ダンボールを瞬時に計算
※10秒で1万件の注文明細を計算した実績あり - 1注文に対して複数のダンボールを使用する結果となった場合、どのダンボールに何を梱包すべきかを計算する。
※梱包ダンボール単位の梱包明細が必要となるパッキングリストの自動作成が可能 - 注文受付段階で正確な運送料の計算が可能。また、梱包前から配送伝票枚数を正確に把握できる為、梱包時に配送伝票が不足し、追加発行する手間を省くことができる。
- 複数種類のダンボールの中から、注文単位に最小サイズとなるダンボールを選択される為、送料の低減につながる。
※梱包業務において、熟練者と新人の箱選択精度のバラツキを均等にできる。
※図2:箱選択アルゴリズムにおける概要
梱包物の内寸と製品の外寸を活用した積付けの自動計算(空間最適化)は、部品の輸出が多い自動車業界において約15年前からスタートとしている。日本から海外工場へ部品を大量に輸出する際に、コンテナの空き空間を活用することで積載を最大限まで向上させる取組みである。空間最適化による物流改善は自動車業界において成果をあげ、次に食品業界における幹線輸送(トラック輸送)へ広がった。そして、昨今の宅配運賃の値上げを背景に、最小のダンボールを自動選択するBox版アルゴリズムのニーズが増えており、空間最適化の考え(アルゴリズム)は越境ECの物流業務でも活用している。
● 最後に(バーコードによる作業品質向上)
越境ECをはじめとした海外への輸出業務では、作業の間違いが大きな負担につながる。シップバック(日本への返送)や品目分類(HSコード)の紐付け違いは企業間の信頼関係にも影響するからだ。従い、物流業務は間違いのない品質が求められる。結果、作業工数が増えてしまう。対応としては、紹介したシステムによる改善はあるが、その他、バーコードリーダーによる運用をお薦めする。商品とパッキングリストへバーコードを印字・貼付し、輸出の際に注文に合わせてバーコードリーダーで照合させる取り組みである。この場合、在庫引き落とし等のデータ連携までは必要がない為、システム開発はパッキングリストの文字列と商品番号(JANコード等)の文字列の照合のみに留めることができる。ただし、バーコードリーダーを用意すること、及び、商品へバーコードを貼付する運用を考慮する必要はある(図4)。バーコードリーダーによる運用は、間違いのない品質を構築する為、物量増加に合わせて重要になる。
※図3
以上
■ 内容に関する問い合わせ先
ネットロック株式会社
物流IT事業部
若狭 信治
Tel:03-6825-740(代)
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